インドの世界をのぞいてみたら Part.2

インドの世界をのぞいてみたら Part.2

2025/08/08

長〜い夏休み、真っ只中ですね!

読書感想文に向き合っているお母さん、いやお子さんたちもたくさんいらっしゃることと思います。大丈夫、まだ間に合います!(と自分に言い聞かせています笑)

一方で、読書感想文や自由研究、工作の”大物”をすでに完遂してホッとしているご家庭もあることでしょう(羨ましい…!)

さて、以前の記事で取材させていただいた司書さんから、今夏の読書感想文課題図書についてもいろいろとお話を聞いていたのですが…その中で「ダントツおすすめ!」と教えてもらった一冊が、たまたまインドを舞台とする小説でした。

中学生向けの課題図書なのですが、私自身が読んでみて気づきもたくさんあったことから、この作品に絡めながら、今回の記事もインドをテーマにお届けしたいと思います!

遠い国「インド」を少し知ってみようというきっかけになれば幸いです。

 

舞台はインド・ムンバイのスラム

その本は、『スラムに水は流れない』という作品。

あすなろ書房公式Xアカウントより 

原題は『Thirst』。直訳すると「渇き」や「切望」。その名のとおり、「水」が大きなテーマの物語です。

主人公は12歳の少女ミンニ。彼女の家には水道がなく、毎朝学校へ行く前に水を汲みに行くのが日課。水が手に入るかどうかは“運しだい”という日常です。

一方で、ミンニの暮らす地域からそう遠くない富裕層の住むエリアでは、子ども専用のバスルームや大理石の洗面所まであって、水を好きなだけ使える環境がある。

同じ街でも、こんなに違う。

「水を得るために学校を休まなければならない子がいる」という現実を、ミンニの目線で追いかけていきます。格差、社会制度、家族や地域のつながり。重たいテーマもありますが、ミンニの明るさや前向きさに引き込まれ、物語は希望を持って進んでいきます。

 

「パソコン教室」が開いた新しい扉

印象的だったのは、地域のパソコン教室で生徒が募集される場面。誰よりも娘の可能性を信じるお母さんが応募してくれて、見事当選したミンニ。

初めて触れるパソコンに、視野がぐんと広がります。けれど、同じように通いたかった多くの子たちは、パソコンで何ができるのか知らないまま、触れることなくチャンスを得られません。

インドはIT大国とも言われていますが、実際には地域や環境によって、教育やデジタル機器へのアクセスには大きな差があります。スマホの普及は進んでも、パソコンの所有率は低いまま。そうした「数字では見えにくい現実」を、この本は自然な形で教えてくれました。

この本の著者、ムンバイ出身のヴァルシャ・バジャージは現在はアメリカ在住の女流作家です。移民としての経験や、教育の大切さを自らの人生を通じて語る作品が多数。子どもの視点でのブレない描写によって、リアルな生活の空気や、子どもたちの本音がしっかりと息づいていて、読後にはいろいろなことを考えさせられます

 

MuSuBi cottonとインド・オリッサ州

さて、インドといえばMuSuBi cottonが使っている綿花の生産地であるオリッサ州も、まったく違った顔を持つ地域。ムンバイのような都市部ではありませんが、ここでも教育をめぐる課題は根深く存在しています。

MuSuBi cottonが参画しているPBPコットンプロジェクトでは、16年以上にわたって有機農業の支援や子どもたちへの奨学金制度を続けてきました。

伝統的社会制度の影響が色濃く残るオリッサ州では、将来的は農家になるのが当たり前の環境でしたが、ある青年はこの奨学金を受けて高等教育を修了し、今は公務員として地元に戻り、村を支える立場に

農家がPBPプロジェクトに参加する条件の一つに「児童労働の禁止」があり、それによって彼は学校に進学することができ、成績が優秀だったことで奨学金も受けることができたのだそう。

看護師や教師になった人もいて、プロジェクトを通じて「働くために学校をあきらめる子ども」「学んで、自分の道を選べる」可能性が広がっています。


「学ぶ機会」を持つことの重要性。そして、「学んだ子が村に戻り、また誰かを支える」という循環が、少しずつですが生まれています。

オーガニックコットンを選ぶことが、そんな循環の一部になっているという事実があります。日本の私たちとインドがつながって、実際に動き出している変化です。

\ 支援プロジェクトについて詳しくはこちら /

>>社会貢献プロジェクトについて

 

最後に

今回取り上げた『スラムに水は流れない』という作品、そして、PBPの支援活動を通して、私たちが「当たり前」と思っている日常が、実はそうではないかもしれないという視点を持つことができました。

最近つくづく「知る」って大事なことだなと感じています。遠くの国のことでも、どこかで自分の選択と結びついている。 読書も、日々の買い物も、そんな小さな“選択”が未来につながっていくのかもしれません。

★今回も最後までお読みいただきありがとうございました★